CVP分析の活用(cost-volume-profit analysis)
経営分析の基礎用語
「損益分岐点」及び「収支分岐点」の算定など、経営分析を行うに当たっては、下記用語を理解しておく必要があります。
(経営分析上、費用とは、変動費+固定費に分解される)
- 変動費とは・・・
(医業)収入の増加に比例して、「増加する」費用をいいます。
(ex : 材料費、技工料など) - 固定費とは・・・
(医業)収入の増減に関係なく、「一定額必要となる」費用をいいます。
(ex : クリニック家賃、人件費、減価償却費など) - 限界利益とは・・・
(医業)収入から変動費を控除した利益であり、収益性の指標となります。
損益分岐点
損益分岐点とは、(医業)収入と費用が等しくなる(=利益も損失も出ない)状態の(医業)収入金額をいいます。具体的には、材料費・技工料やスタッフの人件費、クリニックの家賃等の全ての費用を賄うために最低限必要となる医業収入金額のことです。
損益分岐点よりも収入が多ければ利益となり、反対に少なければ損失となります。
実際の医業収入が、損益分岐点に比べ少なければ、医業収入を向上させる努力(ex:ホームページの整備、診察時間・診察日の見直し、患者定着率の向上など)をする必要があります。逆に、医業収入の増加が難しいのであれば、コストの削減等(ex:人件費の見直し、仕入先・外注先の見直しなど)の検討をする必要があります。
収支分岐点
収支分岐点とは、(医業)収入と支出が等しくなる(=資金余剰も資金不足もない)状態の(医業)収入金額をいいます。具体的には、材料費・技工料やスタッフの人件費、クリニックの家賃等の全ての費用・借入元本の返済額・税金・保険料の支払額などの全ての支出を賄うために最低限必要となる医業収入金額のことです。
収支分岐点よりも収入が多ければ資金余剰となり、反対に少なければ資金不足となります。
実際の医業収入が、収支分岐点に比べ少なければ、損益分岐点を達成し業績が黒字であったとしても、資金ショートによるいわゆる「黒字倒産」の可能性があります。
即ち、損益分岐点分析による収益性の把握のみならず、中長期的にはキャッシュフローの把握=収支分岐点分析も経営診断を行う上で重要な指標となってくるのです。
計算具体例
借入返済額:10,000千円 減価償却費:5,000千円
損益分岐点売上高
- 100,000千円-20,000千円=80,000千円(限界利益)
- 80,000千円÷100,000千円×100=80.0%(限界利益率)
- 50,000千円÷80.0%=62,500千円(損益分岐点売上高)
収支分岐点売上高
- {50,000千円+(10,000千円-5,000千円)}÷80.0%=68,750千円(収支分岐点売上高)
※上記について、理解し易くするために税金等のキャッシュアウトを考慮しておりません。
実際収支の計算に当たっては、税金等も考慮する必要があります。