移転価格税制の概要

OECDのBEPS(税源浸食と利益移転プロジェクトの勧告)行動13「多国籍企業情報の文書化」を踏まえ、日本では、平成28年度の税制改正において移転価格税制に係る文書化制度が整備されました。
BEPSプロジェクトで勧告された文書は3種類あり、各文書の文書化義務の有無は個別に判断します。

  • 国別報告事項(CbCレポート)
  • 事業概況報告事項(マスターファイル)
  • 独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)

3種類の文書は、「多国籍企業グループが作成する文書」と「国外関連取引を行った法人が作成する文書」の2つのグループに大きく区分することができます。

1.多国籍企業グループが作成する文書

平成28年度の税制改正では、直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループ(特定多国籍企業グループ)の構成会社等である内国法人及び恒久的施設を有する外国法人は、①最終親会社等届出事項、②国別報告事項(CbCレポート)及び③事業概況報告事項(マスターファイル)を作成し、国税当局に提出しなければならないこととされました。

CbCレポートとマスターファイルは、グループ全体の事実関係を示す資料となります。
連結総収入金額が一定の規模を超える大規模な多国籍企業グループがどこの国でどのような活動をしているのか、どこの国に所得を多く配分しているのかを税務当局が把握するための資料となります。

2.国外関連取引を行った法人が作成する文書

一の国外関連者との取引について、以下のいずれかに該当する法人は、当該国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)をその法人の確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存しなければならない(いわゆる「同時文書化義務」)こととされました。

  1. 当該一の国外関連者との間の前事業年度(注2)における国外関連取引(注1) の合計金額(受払合計)が50億円以上
  2. 当該一の国外関連者との間の前事業年度における無形資産取引(注3)の合計金額(受払合計)が3億円以上

(注1)「国外関連取引」とは、法人が国外関連者との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引をいいます。
(注2)前事業年度がない場合には当該事業年度となります。
(注3)「無形資産取引」とは、特許権、実用新案権などの無形固定資産その他無形資産の譲渡又は貸付け等をいいます。

ローカルファイルは国外関連者との取引について、詳細な事実関係の説明と移転価格分析結果を記載します。
ローカルファイルは、会社が国外関連者との取引を移転価格税制に即して行っているかどうかを判断するための書類となり、判断は、主にローカルファイルの記載内容に基づいて行われます。会社がこれを備え付けていない場合、国税当局は「推定課税」と呼ばれる手法により課税を行うことが可能とされています。そのため、グローバルにビジネスを展開している企業は、移転価格課税対策としてこのローカルファイルの作成が急務です。

移転価格税制に係る文書化資料の作成にあたっては、移転価格に関する専門的な知識や経験が必要です。
また、専門のデータベースを使った分析も必要となってくることから、専門家に依頼することが一般的です。

AKJパートナーズでは、移転価格税制に係る文書化資料の作成業務、その他移転価格税制対応に関するご相談をお受けしております。

新たな移転価格文書の作成義務とは >