従来から「税金」については、獲得した利益に一定率を乗じて支払うべきもので管理不能な支出としての認識が強い。しかし、下図の様に税金を「税務コスト」として認識、実効税率の低減に努めた企業とそうでない企業との利益に与える影響は非常に大きなものとなっている。「税金」をブラックボックスとしてとらえず、積極的に「税務コスト」として管理する「タックスプランニング」が、より複雑化した税務制度を活用し競争環境を勝ち抜くことに繋がる。
最近、日本CFO協会が行ったアンケートによると、トップマネジメントは税務戦略(タックスプランニング)の重要性を認識しつつあるとのデータを集計開示している。(下円グラフ参照)複雑化した税制は、一方で複数の選択可能性を残し、企業の成長戦略に応じた適時適切な選択(税制の活用)が重要視されてきているのである。
A社 | B社 | |
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連結会社数 | 1,000社 | 40社 |
連結売上高 | 110,000 | 5,000 |
税引前利益 | 3,000 | 1,000 |
税引前利益率 | 2.7% | 20.0% |
税金費用 | 2,000 | 150 |
実効税率 | 67% | 15% |
純利益 | 1,000 | 850 |
即ち、わが国の税制は、過去画一的に処理が定められているだけであったものが、自主的に申告・届出を行うことで活用できる規定が数多く設けられる(選択の幅が広がって)に至っている。
また、組織再編の手法は選択の幅が広く、税務コストに与える影響も大きいため、事前に十分検討を行うことが重要。
機会損失の極小化のため、税金を管理可能な「税務コスト」として積極的に捉え、税務業務を戦略的に進めること(タックスプランニングの構築)が、企業価値向上のための重要な差別化要因となっている。