IFRSとは
(1)IFRSとは
国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Board)及びIASBの前身である国際会計基準委員会(IASC:International Accounting Standards Committee)により設定された会計基準(IAS:International Accounting Standards)とIFRS解釈指針委員会(IFRS Interpretations Committee)及びIFRS解釈指針委員会の前身である解釈指針委員会(SIC:Standard Interpretations Committee)により発表された解釈指針の総称です。
IFRS導入アプローチには、主に「コンバージェンス」と「アドプション」のアプローチがあります。「コンバージェンス」は、自国会計基準にIFRSを取り込んでいくアプローチで自国会計基準の設定主体は自国となります。日本や従来の米国はこちらのアプローチを採用しています。
「アドプション」は、IFRS自体を自国会計基準として採用するアプローチで自国会計基準の設定主体はIFRSの設定主体であるIASBとなります。欧州連合(EU)はこちらのアプローチを採用しています。
(2)これまでの検討経緯(日本)
企業会計審議会・企画調整部会は、2009年6月に「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表しました。この中間報告で、IFRSの強制適用時期の判断は2012年度を目途に実施し、最速で2015年からの強制適用の可能性が示唆されました。
しかし、その後の東日本大震災の発生や米国のIFRSに対する対応変化等の影響を受け、2011年6月に金融担当大臣より、IFRSの強制適用を決定した場合でも、その決定から5年から7年程度の準備期間を置く旨の発言がされました。この発言を受け、企業会計審議会・企画調整部会では、IFRS強制適用に当たっての更なる検討を行い、2012年7月に「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」を公表し、IFRSの任意適用の促進を図りつつも、日本経済や制度に与える影響を慎重に検討して強制適用に関する議論を更に深めていくこととされました。その後、IFRS強制適用に向けた決定はありません。
(3)これまでの検討経緯(米国)
米国証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)は、2007年11月に外国登録企業にIFRSの適用を認め、2008年11月には米国企業に対するIFRS適用の可能性に関するロードマップ案を公表しました。しかし、2010年2月に公表された作業計画では、このロードマップ案の内容を踏まえることなく、IFRSを米国企業に適用するか否かの決定を2011年に行い、強制適用時期は早くても2015年か2016年になることとされています。
その後、2011年5月に、米国独特のIFRS導入アプローチである「コンドースメント・アプローチ」が公表されました。「コンドースメント・アプローチ」とは、新たなIFRSは順次、自国基準として承認(エンドースメント)し、既存の差異あるIFRSについては、中長期の期間をかけて米国基準に取り込んでいくアプローチです。
2012年7月に「IFRSを米国発行体の財務報告制度へ組込む検討のための作業計画」に関するSECの報告書が公表されましたが、その後のIFRS導入に向けた決定はありません。